『小説 仮面ライダーキバ』感想 TVシリーズとは全く違う世界で渡は何を選び取るのか
※『小説 仮面ライダーキバ』のネタバレあります
『小説 仮面ライダーキバ』を読みました。TVシリーズと少し異なる世界観でまた違った面白さがあって満足できる作品でした。その相違点はだいたい以下の通りです。
TVシリーズとの相違点
- 静香が人間側のヒロインになる
- キバットもいなければタツロットもいない
- さらにはバッシャーもドッカンもいないし太牙もいない
- イクサが並みのファンガイアを圧倒する
- イクサが量産される
- 名護さんが遊び心のないままヴィランになる
- 次狼が音也に対しての友情をはっきりと伝える
キバットとタツロットがいないとどうなるのか…。そう、作品が一気に暗くなります。渡がどんだけ悩もうが、相談したり励ましてくれるキャラがいないんです。
また、名護さんが遊び心のないままヴィランのようになります。名護さんがファンガイアを絶滅させることしか頭になく、話が通じません。それはイクサが導入されることで助長されます。小説はイクサがめっちゃ強いです。普通のファンガイアなら傷つけることもできません。また、人間態のファンガイアをファンガイアと見抜くことができます。これによって、人間として生きている無抵抗なファンガイアを一方的に殺戮します。
そして、次狼が音也に対して友情を直接口に出します。小説版ではバッシャーもドッカンもいないため、何百年も一人で生きています。つまり、ウルフェン族の最後の生き残りになってからずっと孤独でした。そんな中で、音也は次狼の正体を知った後にも普段の調子で軽口をたたきます。そんな音也に次狼は何百年ぶりの友情を感じるのです。
最後に、渡について。渡がファンガイアの本能と戦います。大衆の中にいると人間のライフエナジーを吸いたい衝動にかられます。しかし、渡は人間として生きており、人間を殺したくない理性との狭間でもがき、苦しみます。そんな時に相談できるキバットたちがいないのでそれも辛いです。また、TVシリーズでは目立たなかった静香に対して渡が恋愛感情を持ちます。そんな感情がファンガイアとしての本能なのか、と葛藤します。
こんなTVシリーズよりも少し文学チックな『小説 仮面ライダーキバ』ですが、読了感はとても爽やかでとてもおすすめの一冊になってます。